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秋元志朝

秋元家十代 秋元志朝(あきもとゆきとも)
上野館林藩初代藩主/徳山藩九代藩主毛利元蕃弟
秋元志朝2

『近世の館林城と大名』館林市教育委員会より

譔佐 左衛門佐 但馬守 致仕後刑部大輔 贈従三位
実ハ毛利日向守広鎮ノ二男、母ハ本源院、文政3年3月8日生ル、二年六月五日久朝ノ養子トナル、七年十一月朔日初メテ家斉ニ謁ス、十六日従五位下左衛門佐ニ任ス、八年二月十一日元服、十年四月十三日封六万石ヲ襲フ、十四日但馬守ニ改ム、十三年八月六日武蔵国所領高三万六千九石余ヲ出羽国ニテ換賜フ、弘化二年十一月晦日上野国館林城ニ転封ス、時ニ上野・河内出羽三ヶ国ノ中ニテ所領ノ地ヲ賜フ、安政二年十月藩政ヲ改革シ、江戸詰家屋ヲ館林ニ移シ造士書院ヲ建テ文武ヲ更張ス、五年十一月光山代拝ヲ命セラル、六年十二月金三千両ヲ献ス、文久二年十月十九日所領河内国丹北郡島泉村高鷲原陵修繕請願願ノ通命セラル、三年六月日光山警衛ヲ命セラル、元治元年正月将軍家茂ニシ参内龍顔ヲ拝ス、三月四日又龍顔ヲ拝シ天杯ヲ賜ハル、十月朝廷ヨリ長州隣国ノ諸侯十一藩ヘ長州征討ノ内旨ヲ論サル、是時ニ方リ岡谷繁実ニ命シテ幕府ト長州トノ間ヲ周旋セシム事天聴ニ達ス、十三日夜急ニ宰臣ヲ召シ朝議非征ニ決シ志朝ニ周旋ノ事ヲ命セラル、翌日幕府之ヲ聞キ大ニ驚キ益征討ノ議ヲ要請ス、朝廷聴カス、爰ニ於テ幕府ノ嫌忌大ニ起ル、家臣又党ヲ分チテ軋轢ス、三月九日紫宸殿舞楽拝覧酒饌ヲ賜フ、家臣ニ陪覧ヲ縦サル、十五日岡谷繁実ヲ長州ニ遣ハシ叡旨ノ優渥ナルヲ論シ今後ノ事ヲ詮議セシム、二十三日山陵役夫二千人ヲ献ス、五月五日従四位下ニ昇ル六月八日兵ヲ率ヰ日光山ニ抵リ事平キテ帰ル、二十二日御陵ノ石垣高六尺長百三十六間ヲ献ス、七月十九日長州藩臣京師ニテ暴動ス、爰ニ於テ幕府ノ嫌忌益甚シ、十月二十七日幕府ヨリ論旨アルヲ以テ致仕シ浜町ノ邸ニ住ス十一月二十八日刑部大輔ニ改ム、慶応三年十二月九日王政復古、明治元年三月二十九日自今国政ニ関係スヘキ旨ヲ命セラル、七月二十九日山陵副官ニ任ス、八月九日加茂行幸ニ供奉ス、二年一月山陵ノ労ヲ慰セラレ物ヲ賜フ、七月二十一日山陵副官ヲ免セラレ狩衣地ヲ賜フ、九月館林ニ帰ル、九年七月二十六日卒ス、年五十七、護国院ニ葬ル、二十九年五月二十日従三位ヲ追贈セラル。(秋元家所蔵 秋元家譜より)

秋元志朝(ゆきとも)は毛利徳山藩八代藩主毛利広鎮と秋元家九代秋元久朝の姉の二男として生まれた(長男は徳山藩九代藩主元蕃である)。天保10年(1839)秋元久朝出羽国山形藩藩主の家督を継いだ。その後、弘化2年(1845)山形より館林へ移封となり、6万石の館林藩主となった。安政2年(1855)に起こった江戸の大地震を期に藩政改革に着手、江戸詰めの家臣を館林に移し、これまでの学問所「求道館」を改め「造士書院」を創設、藩士に文武の道を奨励した。また、領内で大洪水が起こった際は、赤生田村(館林市)の領民たちの救済救済活動を行っている。領民たちはこれに感謝し「生祠秋元宮」(館林市指定史跡 永明寺)を建立した。
hokora -yuki

『近世館林の歴史 館林市史』館林市より

嘉永6年(1853)のペリー来航後、館林藩は幕府の沿岸警備に動員され、さらに文久元年(1861)にはアメリカ公使館がおかれた江戸麻布の善福寺の警衛を命じられた。尊王攘夷が激しくなるなか、藩士岡谷繁実(おかのやしげざね)の提言により、文久2年(1862)に河内領内にある雄略天皇陵の修理を手掛けている。元治元年(1864)に尊王運動の中心にあった長州藩に対して、幕府による長州征討が進められた際、志朝は長州支藩徳山藩主毛利広鎮の二男であることから、朝廷・幕府・長州の調停斡旋に奔走した。しかし、これが失敗に終わり、長州との内通を疑われた志朝は蟄居を命ぜられ、家督を養子の礼朝に譲った。その後倒幕運動が激化するなか、館林藩も新政府軍に加わり維新を迎えた。志朝は大政奉還後の慶応4年(1868)に山陵副官に任ぜられた。明治9年(1876)に57歳で没し、谷中(東京都台東区)の護国院に葬られた。室は上杉斉定の女。継室は本多忠孝の女。但馬守に任じられた。(館林市史)

IMG_7013 - コピー贈従三位秋元志朝碑 篆額は弟毛利元徳(萩本藩最後の藩主)館林市 素浪人撮影

IMG_7000 - コピー旧秋元家別邸 館林市 素浪人撮影

秋元館林藩の奮闘 徳山地方郷土史会誌35号 (伊藤改姓 栗﨑健)

秋元志朝の館林転封の際、家臣山田喜太夫秀信の妻、山田音羽子が山形から館林までの引越道中の様子を、多くの挿絵や和歌を交えて道中記『お国替絵巻』として書き残している。
館林市史編さん委員会が、「お国替絵巻」の写真版と紀行文の翻刻を54ページにわたり掲載、編集、平成25年3月「館林市史資料編3近世 館林の大名と藩政 別冊付録「お国替絵巻からみた家臣の道中記ー山形から館林までー」を館林市が発行。
絵巻 (1)絵巻 (2)


公開日:
最終更新日:2024/03/08

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